文献13(NIES業績資料)には業績として

[誌上発表(査読なし)]

27. Okagawa A., Ban K. (2008) Evaluation of carbon abatement policies with assistance to Carbon
intensive industries in Japan, Discussion Paper of Social and Environmental Systems Division,
NIES, No.08-0001, 23+

上記論文(NIES-DP)のキャッシュ

が発表済み論文として記載されています。

しかし、この論文は(1)未発表論文を業績として記載している点、(2)重複発表論文を業績として記載している点で不適切です。以下、詳細を述べます。

(1)未発表論文を業績として記載

上記の論文は2011年8月頃まで未発表で、現実に発行されたのは2011年8月23日頃です。

39-1
証拠1投稿規定で定められた発刊手続き - 画像クリックで大に

こ の論文誌の投稿規定では論文をウェブにアップロードすることが発刊と明確に定められています。それ以外の形式、例えば紙面媒体での発刊は定められておら ず、複数の公的図書館のレファレンス担当者数人に調査してもらっても、2012年現在までこの論文を持っている図書館等は一つもなく、国立環境研究所の出 版担当も発行していない様子でした。

即ち、ウェブで発表していないことは未発表を意味します。少なくとも投稿規定に従えば未発表です。

では、NIES業績資料を提出した時まで(おそくとも審査を実施した2010年4月まで)に上記論文は発表済みだったのでしょうか?

39-2

証拠2 2011年8月10日以前のNIES-DP公式ページ(論文発表の場所) - 画像クリックで大に

39-3

証拠3 長期間未発表だったことの自認 
2011年8月23日以降のNIES-DP公式ページ - 画像クリックで大に

証拠2とリンク先のキャッシュを見ていただければわかるように、上記論文は2011年8月10日以前にウェブ発表されていませんでしたし、データもアップロードされていませんでした。しかも虚偽の論文タイトル及び発表日が記載されています。

さらに証拠2とリンク先のキャッシュを見ていただければわかるように、本来発表すべきだったのに長期間発表していなかったことは国立環境研究所も公式に認めていると考えられます。

従って、未発表論文を業績として記載したと推測されます。

さらに、投稿規定を見ていただければわかるように、この論文誌は査読がなく投稿後即日又はせいぜい1、2日程度で発刊されるため、査読付論文のような掲載予定を観念できません。仮に観念できたとしても、(掲載予定)等の注記なく記載したのは不適切です。

(2)重複発表論文を業績として記載

上記論文(NIES-DP)は下記論文(2007EcoMod)の重複発表です。

EcoMod Conference on Energy and Environmental Modeling 2007年9月13日
"Evaluation of Carbon Abatement Policies with Assistance to Carbon Intensive Industries in Japan"

論文(2007EcoMod)のキャッシュ

両論文を比べれば同一であることは明白です。例えばIntroductionは完全に同じです。

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(NIES-DP)

1. Introduction
The first period of the Kyoto Protocol begins in 2008. However, as yet, Japan has no policy for meeting its Kyoto targets. Implementing a CO2 abatement policy is difficult because of strong opposition from Nippon Keidanren (the Japan Business Federation). This is because a CO2 abatement policy will increase their production costs, particularly for carbon-intensive industries. Table 1 shows the effects of abatement policy on the Japanese economy predicted by a number of models. This table shows that the CO2 reductions required to meet the Kyoto target would cost the Japanese economy between 5,300 and 45,000 yen per ton of carbon (t-C). These abatement costs would mainly be borne by large emitters such as the electricity, transport, iron and steel and clay industries, as is shown in Figure 1. Therefore, it will be difficult to get these industries to support a CO2 abatement policy.

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(2007EcoMod)

1. Introduction
The first period of the Kyoto Protocol begins in 2008. However, as yet, Japan has no policy for meeting its Kyoto targets. Implementing a CO2 abatement policy is difficult because of strong opposition from Nippon Keidanren (the Japan Business Federation). This is because a CO2 abatement policy will increase their production costs, particularly for carbon-intensive industries. Table 1 shows the effects of abatement policy on the Japanese economy predicted by a number of models. This table shows that the CO2 reductions required to meet the Kyoto target would cost the Japanese economy between 5,300 and 45,000 yen per ton of carbon (t-C). These abatement costs would mainly be borne by large emitters such as the electricity, transport, iron and steel and clay industries, as is shown in Figure 1. Therefore, it will be difficult to get these industries to support a CO2 abatement policy.

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東北大学の有識者委員会調査報告書である「研究者の公正な研究活動の確保に関する調査検討委員会報告書」(委員長・有馬朗人元文部大臣、2012年1月24日)において、

「・・・二重投稿等による研究実績の不当な水増しにつながる可能性があるとの指摘もなされている。」(p1, 1(1)より)

「・・・研究業績の評価の際に同一内容の論文、特に二重投稿の論文は業績から除外するなどの対処が考えられる。」(p6, 2(4)より)

と正式かつ明確に述べられています。

この見解に従えば、重複発表論文を業績として記載するのは水増しであり、不適切ということになります。

(3)業績水増し評価に対する私見

あくまで私見になりますが、NIES業績資料は国立環境研究所の業績評価の基礎資料で、これをもとに評価が実施され、予算や人材の重点配分が決まります。このような重要な業績資料で、上のような業績申告を行うのは、不当な評価に基づく過大な予算等の支出に繋がるおそれがあるので、納税者の立場からは絶対にやめてほしいと思います。